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まずは、採用基準についての実態を理解していただきましょう。
「人事マンの持つ採用基準が曖昧です。」と言いましたが、人事マンの採用基準は、いったい何なのでしょう。一言で言うと、『その企業で最も活躍している人が採用基準になる』ということです。心理学的には、同一視といえるかもしれませんね。
例えば、学歴も無く転職回数も多い人が、トップセールスマンとして、高い評価を受けている企業の場合。人事マンは、転職回数が多い応募者に対し、「学歴など関係無いですよ。転職回数も問題ないですね、逆に多くの経験があっていいくらいです」と高い評価になります。応募者を、トップセールスマンと同一視し、応募者の能力を、トップセールスマンとダブらせることで安心できるわけです。
別の理由は、説明の容易さにあります。
人事マンが面接後に、上司から「どんな人だった」と質問された場合、「当社の営業マンの○○さんにそっくりです」と言えば、大体のイメージが上司に、伝えられるからです。
皆さんも、友達の紹介などを第三者にする場合、「芸能人の○○さんに、似ています」などと話す事があるのではないでしょうか。その場合、聞いた方も、外見ばかりでなく内面的な要素もその芸能人とダブらせてイメージを持つものです。
もう一つの理由は、人事マンは、保守的な生き物だからです。
「○○さんに、そっくり」という感覚は、既に実証された人物評価で、人事自身が、安心するからです。全く従来までの人材と違う人を採用することは、ギャンブルにも似ています。失敗しないために、似たもの同士を集める傾向にあります。組織が単一化しやすいのも、それが原因です。
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